白雪千夜「足りすぎている」
1- 20
193:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 18:11:15.86 ID:1/ZkFkMM0
 アーニャさんは、それ以上何も言わない。
 ただ、いつかの時と同じように――何か言いたいことがあるはずなのに、それを必死で我慢するような――。

 しかし、今日のそれは笑顔ではなかった。
 今にも泣き出しそうな、星空ではなく、氷のように寂しそうな瞳。

 彼女の隣に立つアイツも、無言で立ち尽くし、私に何かを促している。


 過去の清算、か――。 
 そうだな。この先、こんな気分に浸る機会はもう無いかも知れない。


「少し、話をしても良いでしょうか。
 ちょっとだけ、昔の話……」


 返事は無い。
 だが、それが肯定を示す沈黙であることは、彼らの表情を見て分かった。

 私は振り返り、遠くに広がる街の灯りを見つめた。
 そして、その遙か北の先にある、私の生まれ故郷を。



「私は孤児です。
 12の時に、天涯孤独の身となりました」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
301Res/285.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice