187:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:54:29.92 ID:1/ZkFkMM0
「……お嬢様」
「お嬢様、も止めよう?」
フフッ、と肩を震わせて、お嬢様は照れ臭そうに鼻をかいた。
お嬢様も、非常な覚悟で今日を迎えたのだな。
かつては自分のものにすることで守ろうとした私を、今日、お嬢様は手放す決意をした。
私に、自立を促すために――。
改めて、目の前の不格好なハンバーグを見つめる。
この施しを受ければ、私はこの家の従者ではなくなる――。
「もう冷めちゃったかな。長々と話し過ぎちゃった、ごめんね」
「いえ」
私はお辞儀をして、手を組んだ。
「いただきます」
それまでのやり取りもあり、おじさまも、アーニャさんもアイツも、私が最初に手をつけるのを待っているようだった。
ひょっとしたら、これが最初で最後になるかも知れない、お嬢様の手料理。
その味は――。
「どうかな?」
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