186:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:52:30.20 ID:1/ZkFkMM0
「私は黒埼家に拾われて幸せでした。
お察しの通り、私がアイドルを辞める決意をしたのは、お嬢様からアイドルを引き離すためです。
このまま無茶なレッスンを続けていては、お嬢様のお身体はいずれ壊れてしまいます。
私に生きがいを与えてくれたお嬢…」
「誰かに与えられる生きがいじゃなくて」
今度は私が言葉を遮られる番だった。
私のことで、こんなに必死になられるなんて――。
「私は、もう一度、太陽が昇る時が見たくなったの。
私からアイドルを取り上げるためにアイドルを辞める? それは違う……逆なんだよ、千夜ちゃん。
私が私だけの道を歩めば、千夜ちゃんは千夜ちゃんの人生を生きられる。
そう思ったから、私はアイドルを続けるの。
千夜ちゃんにアイドルを続けてもらえるように……また、あの素敵な姿で皆を、私を明るく照らしてもらえるように。
だから」
ゆっくりと大きく息を吸い、お嬢様は目を潤ませながらニコリと微笑んだ。
「もう一度、友達になりましょう、千夜ちゃん。
主と従者ではなく、対等の……一緒に遊び回っていたあの頃の私達に、これは帰るための儀式。
今日、私の誕生日というこの日に、その素敵なプレゼントを私に与えてほしいの」
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