181:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 17:35:25.56 ID:1/ZkFkMM0
着席した私達の目の前に、料理が並ぶ。
と言っても、ワンプレートだけだ。スープも、ご飯やパンすらも無い。
「これだけかい?」
おじさまが訪ねると、お嬢様は悪びれずに「うん」とだけ答えた。
お嬢様の手料理――ついぞ記憶に無いが、想像していたものとあまり変わりは無かった。
お祝い事の時にしか使わない高級なお皿には、所々焦げたり崩れたりした、頼りないハンバーグが乗っている。
あまり煮詰めていないであろうソースもベチャベチャで、付け合わせのニンジンやクレソンも何だか素っ気ない。
アーニャさん達のものと比べても、盛りつけの見栄えはそれぞれ皆バラバラのようだった。
だから私がやると言ったのに――。
いや、お嬢様の誕生日を忘れるという大失態を犯し、準備をできなかった私に、文句を言える筋合いは無い。
ただ――。
「魔法使いさんも、ハンバーグお好きでしょ?」
席に着かず、ニッコリ笑うお嬢様に対し、アイツは気まずそうに首の後ろを掻く。
「パパも、アーニャちゃんも……千夜ちゃんも、ほら、遠慮なくどうぞ♪」
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