白雪千夜「足りすぎている」
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155:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 16:04:24.75 ID:1/ZkFkMM0
「その辺は杏には分かんないけど、まぁいいんじゃない?
 でも、プロデューサーにはちゃんと自分から言った方がいいよ」
「それは、言われるまでもありません」
「はいはい」

 鼻で笑い、杏さんは目の前のオレンジジュースを吸った。

「辞めたらさ、後でどんな感じかを杏にも教えてよ。
 今度杏も辞める時の参考にしたいし」


「……杏さんは」

 俯いて、膝の上に置いた手をギュッと握りしめた。
 一体、何なのだろうな、この――。

「辞めようと思ったことは、無いのですか。
 普段、あれだけ「働きたくない」などと文句を言って、サボって、逃げて……でも、肝心な所ではしっかり仕事をして」

 劣等感、とは少し違う――憧れ、あるいは後悔だろうか。
 私には、彼女のように上手く泳げなかったという、無念さ――。

「なぜ、杏さんはアイドルを続けるのですか……?」



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