白雪千夜「足りすぎている」
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15:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:14:47.48 ID:QXbKSZYO0
「どうぞ、召し上がってください。
 この子の作るハンバーグは、ウチの自慢です。ささ、遠慮せず」

 食卓に着いたおじさまが、ニコニコと笑いながら、同じく席に着いたあの男に促す。
 せっかくだからと、夕食を共にするよう勧めたのだという。

「どうしたの? ハンバーグ嫌い?」
 おじさまの隣に座ったお嬢様が首を傾げる。

「いえ、その……好きです」
 男は気まずそうに首を掻きながら首肯した。

「それは良かった」

 おじさまは笑っているが、良いことなど無い。
 どうしてこうなった。

 この男もこの男だ。
 誘われたとはいえ、人様の食卓に上がり込むなど、やはり厚かましい。


 だが――図らずも、作りすぎた料理がちょうど良く捌けたのも事実だった。
 ひどく恐縮する素振りを見せながらも、男の食べっぷりは体格に違わず見事なもので、瞬く間に私の作った料理が消えていく。

「千夜ちゃん、ちょうど良かったね。
 ひょっとして、この魔法使いさんがまた来てくれることを見越して用意していたの?」

「いえ、そんなことは……魔法使い?」


 聞き違いかと思ったが、お嬢様はニンマリと笑っている。

 やはり、この男のことを指して『魔法使い』と呼んだらしい。



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