白雪千夜「足りすぎている」
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110:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 01:12:37.76 ID:1/ZkFkMM0
 当面の活動拠点として、この物置部屋を使っていくことになった。
 プロジェクト存続に向けて動き出した私達の最初の仕事は、部屋の掃除だ。

「千夜ちゃん、普段やってくれてばかりだから、今回は休んでくれてもいいわよ」
「ありがとうございます。掃除は、少々苦手なもので」
「えっ、千夜ちゃん、お掃除苦手なんですか?」

 卯月さんが驚いた様子で私を見る。

「黒埼に仕えている間は、それが仕事でしたので、四の五の言っていられなかっただけのことです」

 掃除というのは、やればやるほど新たな汚れが見つかり、キリが無くなっていく。
 どこまでやれば良いという終焉が見えないものは、私にとって付き合い辛い対象だ。

 機械に任せようと、黒埼の屋敷でルンバを一度操作した時のことを思い出す。
 あれは、どうしようもない代物だったな。痒いところに全く手が届かない。
 お嬢様の気まぐれで買われたは良いものの――。



 ――――。

 突然、背筋が凍る感覚が我が身を襲った。


「……ねぇ、プロデューサー」

 皆と掃除をする手を止め、凛さんが後ろを振り返る。
 アイツは、部屋の一角でノートパソコンを広げていたが、その作業の手を止めた。


「常務って人のプランと対立する、って言ってたけどさ……
 それ、どういうことなの? その常務のプロジェクトと、私達が戦うってこと?」



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