11:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:06:17.92 ID:QXbKSZYO0
こんな山深くまでわざわざ足を運んできた相手に対し、いくらか気が引けた思いも無いわけではない。
だが、この男も好きでここに来たのだ。たとえ骨折り損で終わることに、まさか文句は言うまい。
「最後に、一つだけお伝えしたいことがあります」
ドアを開け、退出を促したところで、男は再び口を開いた。
「あなたがこの屋敷に仕える喜び、そこから得る幸せを、否定するつもりは毛頭ありません。
私は、あなたに可能性を提示したいのです。
一歩を踏み出し、広がった世界で出会うものの尊さもあるのだと知ってほしい」
「言わんとすることは、分からないでもありません」
そうやって新たな売り物を手に入れたいという意図は。
「ですが、それを私が求めるかどうかは別の話です。お引き取りを」
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