白雪千夜「足りすぎている」
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10:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:04:51.45 ID:QXbKSZYO0
 ――知った風なことを。
 人の幸不幸を、この男は定義できるというのか。

「はい、幸せです。
 他に何か、ご用件はありますか?」

「アイドルに興味は…」
「ありません。先ほど申したとおり、余裕も興味も、これっぽっちもありません。
 他には何か?」


 言葉に窮したらしい男は、もう一度首の後ろを掻いた。
 困った時の癖なのだろうと推察される。

「また、お伺い致します」

 頭を下げ、男が椅子を引いて立ち上がったのを見計らい、私は玄関へエスコートした。

「生憎ですが、もうお越しいただかなくとも結構です」
 ブレずにキッパリと言い切る。ここで対応を誤っては、後々面倒だ。

「お嬢様ほどのお方であるならまだしも、アイドルなるものについて、私に務まる要素などありません。
 あなたも、私のような者にいつまでも構うことなく、本来のお仕事をなされた方がよろしいかと」



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