32:名無しNIPPER
2019/11/20(水) 00:17:10.45 ID:q4097vYe0
目の前に広がる殺風景な山道。
先ほどから一台も車が通らない形だけの存在の道路と
その取り巻きの荒れ地を眺めながら
自販機にもたれかかるように座って途方に暮れています。
切り開かれた山の斜面よりはこちらの方が気持ちが休まるかと思ったのですが
これはこれで寂しさが増して辛いのですよ。
こんな山道にぽつんとこうして自販機が一台。
運転手さんはこれが目的でここに休憩がてら一度停まったのでしょう。
ライラさんはここで足を休めつつ独り反省会です。
かれこれもう数時間経っている気がします。
荷台から降りるのに時間をかけすぎてしまったのがいけなかったのでしょうか。
いいえ、そもそもライラさんがトラックの荷台になんか隠れなければ……
ただの遊びだったはずなのに、無茶な隠れ方をしてこんなことになってしまったですよ。
隠れるのは得意だった、と自分ではそう思っていたのでございます。
でも、いつの間にかこんなにへたっぴになってしまいました。
現状としては、意図せず探すのが難しいところへ来てしまいましたが。
16歳にもなって
大人になったからと家ではいろいろあって
それで故郷から飛び出してしばらく経って
アイドルになって働いて。
それでいてなお
こんな子供のような失敗をしてしまうのが、今更ですが恥ずかしくなってきたのでございます。
そんなことを考えながら誰か来ないものかと待ちぼうけですが、全く人の気配がありません。
日は大分傾いていますが、それでも暑さは厳しくて
ここが偶然日陰でなければライラさんはとっくに干上がってしまったかもしれません。
でも、それもそろそろ限界でございます。
日陰とは言ってもやはり暑くて汗をかいてしまします。
喉がもうカラカラで遠くを誰かが通りかかってもうまく声を出せないかもしれませんです。
せっかくの自販機がここにはありますが
お金やらケータイやらも全てバッグに入っていたので、ここには無いのでございますよ。
近くに蛇口でもあればいいのですが……周りを見渡してみました。
本当に見渡す限り何も見えなくて
お家でもあれば訪ねようかと思いましたが建物の類が一切見当たりません。
人は住んでない場所なのでしょうか。
僅かながらの風に草木が揺れて
細やかなその音が一層静けさを際立たせます。
一応道路はあるのですから車の一つでも通ってほしいのでございます。
そんなことを期待して耳を澄ませていたのですが、全く車の音はしません。
でも
……あれ?もしかして
46Res/52.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20