ライラ「大好きな背中」
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30:名無しNIPPER
2019/11/20(水) 00:10:19.36 ID:q4097vYe0
 大変なことになってしまいましたです。
 このトラックはどこへ向かっているのでございましょうか?

 そしてもう一つ、こちらの方がより大変かもしれません。

 転ぶと同時に、嫌な音がしたのです。微かではあっても、ライラさんにだけはとても大きく聞こえた音。


「痛っ……」


 右足首が腫れ上がっていました。
 転び方が良くなかったみたいです。

 ダンスレッスンを始めたばかりの頃に足をひねった経験がありますが
 今回のこれはちょっと酷そうでございます。

 荷台の僅かな震えでさえ、腫れ上がった足首にズキズキと響きます。

 ただ、動かしたくはないですけど、状態を確かめなければいけませんです。

 転んだままの姿勢で投げ出された足首を、腿を抱えるようにして手繰り寄せました。
 患部を見つめながら恐る恐る手を添えて、ゆっくりと動かしてみます。

 ズキン!と痛みが走りましたが、それでもなんとか足首は動きます。

 骨が折れてないことを祈りつつ、まずは周囲を確認します。

 これ以上怪我をしないように
 崩れかけの荷物から少しでも離れるように
 荷台の端の隙間に身を寄せました。







 開きっぱなしのカーテンの隙向こうで、建物の屋根や街路樹がびゅんびゅん飛んでいきます。
 


 もうキャンプ場からすっかり離れてしまったのでございますね。
 今、ライラさんはどこにいてどこに向かっているのでしょうか?

 痛む足もそうですが、このままでは帰れなくなってしまうのではとそれが心配なのですよ。

 なんとかして運転手さんにお話ししなくてはいけません……でもどうやって?


 ここから運転手さんへ呼びかけてみるのは……
 ライラさんはあまり大きな声は得意ではないのですよ。

 運転席に一番近いところへ行って叩いてみるのも……
 今のこの足ではできそうにありませんです。
 できたとしても、これだけ荷物が盛大に崩れて一向にスピードを緩めないのですからきっと気にもとめてくれないでしょう。






 やはりどこかに停まった時に降りて説明するしかなさそうです。
 でも、いつになるのでしょうか……


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