118: ◆BAS9sRqc3g[sage saga]
2019/11/19(火) 22:39:11.31 ID:6s/A4gNC0
あの時のテレビの企画はテレビ局側からは大満足の行くステージだったそうだ。
結局のところ、私達がどれだけ気合いを入れようと視聴者が見たいのは
今をときめく若いアイドルや勢いのあるバンドサウンドだった。
番組の流れで言えば3時間もある特番の一曲に過ぎないことを
収録の段階でようやく思い知ったのだった。
若い世代にとって私達の番はせいぜいトイレ休憩タイムでしかなく、
お父さんお母さん世代には子供たちに付き合って見る中で唯一
「懐かしい」と楽しめる時間になったのだと思う。
私と志保が二人並んで唄い上げた”たった一曲”は、
私たちからしても成功したと言ってもいいものだった。
十分、私達はよくやった。
久しぶりに浴びるスポットライトは私を芯から熱くさせ、迎え入れてくれた。
それと同時に今の私には見合わない、不釣り合いな欲を持たせた。
もっと唄いたい。
もっとステージに立ちたい。
出来ることならこの一曲が終わらなければいいのに。
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