49:名無しNIPPER
2019/11/10(日) 23:34:04.94 ID:PR8wYl2Go
花火のしらせはやがて群衆のざわめきに変わり、それが最高潮になった瞬間、一つの大きな花にまとまり、ドンとお腹に響く音と共に空へ打ち上げられました。赤や黄色、緑や青、めいめいの花が咲いては消え、でも夜空を空白のままにしないよう、次々連なって昇っていきました。
時には二つの輪が半分以上重なり合い、混じって派手な円模様と、多色混合の彩り豊かな火花が散り、かと思えば次の瞬間、二輪はどんどん離れて行き、ついには壁でも出来てしまったかのように、妙な距離が出来てしまいました。
あぁ、もっと近づけたなら鮮やかな景色になるのに。寄せては返す花火の距離がもどかしくて、もっと、もっと右に行けたなら……。と思いながら、くい、くいと身体を右に傾けていたら、こつん、と右手が何かにぶつかってしまいました。何が当たったんだろうと右を向いた時、唯先輩と目が合いました。
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