8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:20:36.36 ID:c2i0tNU+O
「ぜぇっ……はぁっ……手間取らせやがって」
日頃の運動不足が祟って、酷く疲れた。
しかし、元サッカー部の俺はすぐ追いついた。
なつきを組み敷くと、手に持つ携帯に気づく。
「拓海くん、助け……っ!?」
すぐさま携帯を取り上げる。
今、聞き捨てならない名前が聞こえた。
俺は務めて冷静になつきを問いただした。
「今、拓海とか言ってたな? お前、その好きな人ってのは藤原のことじゃねぇだろうな?」
「…………」
なつきは答えない。
その沈黙は肯定だ。
脳裏にサッカー部時代の喧嘩がよぎる。
なつきはあの藤原拓海に惚れているらしい。
よりにもよって、この俺に楯突いた藤原に。
あいつに惚れて、そして捨てられたなんて。
あの時、なつきを庇ったあいつが、どうして。
あらゆる意味で許せなくて、ムカついて。
再び頭に血が上り、また手が出てしまった。
駄目だ。落ち着け。冷静に。クールにいこう。
「けっ……助け呼ぶなら相手を選べよ。高校生のガキがクルマなんか持ってるわけねぇだろ」
「来るよ。拓海くん、運転上手だから」
「なっ!? あいつ、クルマ持ってんのか!?」
どうやら藤原は、クルマを持っているらしい。
ならば試してやろう。その好きな人とやらを。
本当になつきを大切にしているのか見極める。
なつきを誑かして、遊んで捨てただけなのか。
それとも俺に楯突いたあいつなら、あるいは。
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