【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―7―
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69: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2019/12/24(火) 20:00:24.20 ID:vF+jj9uO0
 誰もいない場所ならそんなことを考えなくてもいい。そうしてピエリが逃げ込んだのが星界の小さな祠みたいな場所だった。
 そこで、ピエリはその子に出会った。その子のことをピエリは全然知らなかったけど、向こうはピエリのことを知ってた。
 なのに、その子はピエリのことを怖がったりもしないで、言葉を掛けてきたから思わず聞いた。

『あなた、ピエリが怖くないの?』

 ピエリの質問に、その子はこう返してきた。

『その、怖がられたいんですか?』

 それにピエリは怖がられたくないって、素直に口にしていた。
 素直にそう口にしたら、すごく悲しくなって涙が出る。声を出さないように頑張ったけど、口の中から漏れ出して自然と体が丸くなって動けなくなった。
 だけど、こうやって泣いても気にしてくれないと思う。ピエリの事を知ってるなら関わらない方がいいってみんな知ってるから。だから、その子も声を掛けてくれない、そう思った。

『え、ちょ、ちょっと待ってください。なんで泣いてるんですか!?』
『え……』
『ご、ごめんなさい。その、突き放すために言ったわけじゃなくて、疑問に思ったことが口から出てしまったと言いますか……。その……』
『……』
『安心してください、私はピエリさんの事を怖がったりしませんから』

 そう言って、その子はピエリの頭を優しく撫でてくれた。
 昔、お母さんがそうしてくれたようにピエリが安心できるように優しく接してくれて、それがピエリの中の何かをもう一度動かしてくれたのだと思う。その子、リリスがしてくれたことが、もう一度、お母さんみたいになりたいって思う力になった。
 だからかもしれないけど、ピエリはリリスが気にかけてくれる度に、お母さんのことを思い出す。



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