794: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2023/03/01(水) 00:22:06.47 ID:fFXJOFQl0
英語はできるほうだ。
と言ってもあくまで紙の上だけでいざ会話しろと言われれば恐らく無理だろうが。
それでもまぁ聞き取るくらいは多分できると思う。
だがそういう類の話ではなかった。
街中で全く知らない言語が聞こえてきても、普通○○語っぽいなとか、そういう感想を抱くものだ。
違いはあれど同じ人類の使う言葉。根っこの部分は同じなのだ。
言語。そう認識する。
少なくとも野良猫やカラスの鳴き声と同じに捉えるものはいまい。
でもこれは違う。
目の前の少女から発せられたそれは、まるでノイズのようで、
少なくともそれを言語であると認識できなかった。
「何か聞こえたか?」
耳に入れた無線機から声がした。
少女に見えないようにYESのハンドサインを作る。
「何と言っていたかわかるか?」
NO
「…触れてみる気はあるか?」
…NOだ
「部屋を出ろ」
短い面談だった。
だが椅子から立とうとして気づいた。
脚が少し震えていた。
男「またな」
黙って出るのは何となく後ろめたかったので無責任にもまたなどと声をかけてしまった。
再び無表情に戻った少女の緑色の双眸は、そんな俺をじっと見つめたままだった。
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