642: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2022/03/21(月) 05:08:32.39 ID:0Hx+2bE/0
男『それに俺だっていつまでもここにいるわけにはいかないだろ?』
緋色『え?』
男『お前が艦娘として海に立てるのを見送るのが俺の仕事だからな』
実際は少し違うが、俺自身がそうしたいという嘘偽りない本音でもある。
緋色『そっか…』
緋色がいよいよ俺の手を放しかけた、
その時だった。
男「!?」
フッと世界が消え去った。
明かりが消えた、と認識するのに少し時間がかかるほど一瞬で暗闇に覆われた。
慌てて周りを見渡すが暗闇に慣れていない目はもはや真横の壁すら認識できていない。
直前まで目に焼きついていた景色がぼんやりと幻覚のように周りを覆っている。
視覚が奪われたせいか雨音がよりいっそう大きくなったように感じた。
男「…」
停電、か。
真っ先に思い当たる原因は台風よりも深海棲艦の攻撃だ。
嵐で動けないとみせかけての鎮守府襲撃、なんて事があるとしたら。
身体が強ばる。
逃げるか?だとしたら何処に?
廊下に立ち止まったまま思考が堂々巡りを始める。
しかし、そんなことをしている間に何も起こらなかった。
仮にも軍の基地だ。不測の事態であればそれ相応の対応をとるはず。
未だにサイレンやらがならないということは単なる停電とみていいだろう。
男「ふぅ…」
腰の護身用拳銃にかけていた左手を離し緊張感をほぐす。
そこでようやく、右手が妙に締め付けられていることに気づいた。
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