450: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:53:45.25 ID:vgJpznfL0
眺めているとなんとなく二機の違いがわかってきた。
オレンジはともかく暴れている。獲物を前にした猛獣のようにひたすら青に食らいついていく。
一方青は冷静だ。最低限の動きで猛攻を躱している。
451: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:54:42.67 ID:vgJpznfL0
その少女は一階の窓の縁に組んだ両腕を乗せそれを枕に空を見つめていた。
セミロングで太陽の光を内側で反射するような薄く透き通った茶髪。紅白の鉢巻でまとめられた少し長めの前髪がいくらか暖簾のように顔にかかっている。オレンジに近い瞳は俺ではなく空に向けられていた。
純白の弓道着が彼女のその存在の薄さを際立たせているようにも思えた。
452: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:55:15.64 ID:vgJpznfL0
男『オレンジと青だろう?さっきからあれを見ていたんだ。演習かい?』
瑞鳳『…ふーん、そっかぁ。そうね、演習よ』
男『初めて見るよ。こういうのは』
453: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:55:53.38 ID:vgJpznfL0
瑞鳳『普段はしないのよ、ああいう演習は。艦載機の訓練ならもっと他にあるもの』
男『これに載ってたよ。俺には少し難しかったから流し読みだったが』
瑞鳳『それは?』
454: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:56:24.34 ID:vgJpznfL0
瑞鳳『どうしてここに?』
男『飛龍と約束しててな。これを返しに来たんだが一向に現れなくて』
瑞鳳『そうね。まだ飛んでるもの』
455: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:57:08.91 ID:vgJpznfL0
瑞鳳『それ、私が預る?』
男『ん?』
瑞鳳『あの分じゃいつ戻ってくるか分からないもの』
456: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:57:38.86 ID:vgJpznfL0
瑞鳳『…』
男『?』
瑞鳳『もう一回』
457: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:58:58.43 ID:vgJpznfL0
男『いい匂いだったな』
いや、この言い方は違うな。表現が違う。というかマズい。変態か俺は。
そういうのではなく、なんだろう、空気というか、雰囲気だろうか。
458: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:59:36.89 ID:vgJpznfL0
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秋雲「なんかあったの?」
画面の向こうから秋雲が問いかけてくる。
459: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 05:00:08.82 ID:vgJpznfL0
『課長ッ!!』
スリープボタンを押したところで扉のノブに思い切り負荷がかかった音がした。
壊れたろこれはと思ったがどうやら無事だったようだ。
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