442: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:47:23.42 ID:vgJpznfL0
川内『…』
川内は俺の方を一切見ず何かを考え込んでいる。
何か。
443: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:48:28.89 ID:vgJpznfL0
川内『バランスは私達にとって死活問題です。なんせ崩れれば転覆ですからね。そのための訓練がこれです』
川内がグラウンドに置かれたリュックを指さす。
川内『大きな容器に水が入ってます。重さは大した事は無いですけど動くと揺れます。この揺れは自身の運動に大きな影響を与えます』
444: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:49:15.67 ID:vgJpznfL0
パシャリ、と後ろで音がした。
シャッター音だ。それも実際にシャッターが閉まった音ではなく記号としてのシャッター音。つまるところスマホなんかの音だ。
『あやっべ』
445: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:50:28.54 ID:vgJpznfL0
男『追っかけてっちゃったよ…』
改二の服装で全力ダッシュする川内はまさに忍者だ。
緋色『お水飲んできてもいいかしら』
446: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:51:04.18 ID:vgJpznfL0
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男『静かだ』
ベットに寝転んだまま冊子を閉じ自室の天井を見上げる。
447: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:51:36.11 ID:vgJpznfL0
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空母寮。
艦娘の中でもとりわけ異色な艦種である空母はその特異性から他と違いこうして専用の施設がある事が殆どだ。
448: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:52:16.71 ID:vgJpznfL0
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男『冗談だろ』
約束の時間から既に三十分が経過した。
449: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:53:00.10 ID:vgJpznfL0
二階建てのコテージのような作りの空母寮。裏手に当たるここは各部屋の窓があるだけで特に変わったものはなかった。
そんな寮の壁に背を預け何気なく空を見ると、それは飛んでいた。
二機の艦載機だ。鎮守府のすぐ近くを飛んでいた。
450: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:53:45.25 ID:vgJpznfL0
眺めているとなんとなく二機の違いがわかってきた。
オレンジはともかく暴れている。獲物を前にした猛獣のようにひたすら青に食らいついていく。
一方青は冷静だ。最低限の動きで猛攻を躱している。
451: ◆rbbm4ODkU.[saga]
2020/10/25(日) 04:54:42.67 ID:vgJpznfL0
その少女は一階の窓の縁に組んだ両腕を乗せそれを枕に空を見つめていた。
セミロングで太陽の光を内側で反射するような薄く透き通った茶髪。紅白の鉢巻でまとめられた少し長めの前髪がいくらか暖簾のように顔にかかっている。オレンジに近い瞳は俺ではなく空に向けられていた。
純白の弓道着が彼女のその存在の薄さを際立たせているようにも思えた。
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