90:名無しNIPPER[saga]
2019/10/07(月) 20:45:27.09 ID:pYPvRrqT0
冗談めかして言う春香に、千早は微笑みを返す。
それから、少し表情を改めて言った。
千早「ごめんなさい。約束を破ってしまうことになるけれど……。
今は私、歌いたいの。さっきのステージの感覚がまだ残っているうちに……。
あんな気持ちで歌ったのは久しぶりだから、
この気持ちが少しでも強く残っているうちにもう何回か歌っておきたくて。それに……」
と、千早は目を伏せて一呼吸置く。
そして汗を握り込むように、胸元でぐっと拳を握り、
千早「今、立ち止まってしまえば……きっと次は負けるから」
不安、喜び、焦燥感、高揚感、様々な感情の入り混じったその表情は複雑なものであったが、
それでも春香には千早の気持ちが分かる気がした。
また同時に、はっきりと「負け」を口にした千早の姿に、態度には出さない程度に驚きを感じた。
だがきっと間近で静香を見ていた千早だからこそ、
それほどまでの切迫感を覚える何かを感じ取ったのだろう。
そして改めて、今日のステージが彼女たちにとって大きなきっかけとなったことを、春香は十全に理解した。
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