87:名無しNIPPER[saga]
2019/10/07(月) 20:42:06.78 ID:pYPvRrqT0
それを聞き、静香は目を伏せる。
そして一呼吸置き、口を開いた。
静香「……私も、そう思ってました。競り合っていたのは中盤まで。
終盤は、私は一度も千早さんを超えることはできなかったんだって、わかってました……。
でも、客観的な意見も貰えて……なんていうか、少しすっきりした気持ちです」
伏し目がちにそう言った静香の表情は、どこか晴れやかさを感じるものだった。
静香は顔を上げ、改めて千早を見据える。
静香「千早さん、改めて今日はありがとうございました。
千早さんの本気を受け止めることができて、すごく、嬉しかったです」
千早「……ええ。またいつか、もう一度こんなふうに歌えるのを楽しみにしているわ」
短く言い交し、握手を交わし、二人は控室へと戻っていった。
控室に戻るまでも、戻ってからも、二人の間に会話はほとんどなかった。
気まずさとは少し違う。
ただ、多く言葉を交わそうとは二人とも思わなかった。
千早「――それじゃあ、私はもう行くわね。静香はまだここに居る?」
静香「はい。まだ、汗が引かなくて」
気恥ずかしそうに笑った静香に、千早は微笑みを返す。
そして、また明日ね、と一言言い残して扉を閉めた。
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