94: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2019/10/15(火) 01:09:32.44 ID:AthaJ31d0
少年「……少女さん、そのまま上がってこなくて……僕も飛び込もうとしたけど、池の中に変な手が蠢いてるのが見えたら、すごく怖くなっちゃって…」
猫又娘「手?」
少年「うん。それに、声が聞こえたんだ。少女さんを、ここで突き落とせって」
少年「初めは僕の中の声かと思った…けどあれは、なんか違うような……」
猫又娘「……その話本当?だったらあの子は今頃──」
少年「少女さんは身に覚えがないみたいなんだ。彼女の中ではその日、僕と一緒に居なかったことになってる」
少年「……だから僕も、あれは夢だったのかなって、考えてる……」
少年「たまに妙にリアルな悪夢を見ることあるでしょ?それと同じさ」ハハ...
猫又娘「夢、ね」
猫又娘「少年君は、たかが夢一つ見ただけで人を突き離しちゃう人間さんだったのかな?」
少年「つ、突き離すなんて……」
少年(………)
少年「……分からないんだよ……」
少年「僕だってまた少女さんと一緒に居たかった…他愛ないこと喋って、笑って」
少年(そんな当たり前を楽しいと教えてくれた彼女と)
少年「けどダメだった。先週からずっと、少女さんとどんな顔で接すればいいか分からなくなって……それまでどんな風に会話してたのかも思い出せない」
少年「なにより、あの事が夢かどうかも分かってないのに元通りに過ごすなんて、出来っこない…!」
少年「もし夢なんだとしても、心の底で少女さんを邪魔者と思ってるのかもしれないし、夢じゃないんだとしたら……」
少年「──僕は少女さんを殺した張本人だ」
少年「そんな人間が……彼女の隣にのうのうと居座る権利なんてあるわけないだろ……」
猫又娘「……」
猫又娘(………)
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