少年「アヤカシノート」
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370: ◆7jwTcAQqF.Dj[saga]
2020/02/18(火) 22:42:28.32 ID:Yxrt9fKO0

少年「…なぁ、お前」

少年「――泣いてるのか?」

黒服男「…?」

少年「泣いてはないか。けど…」

少年「さっきからずっと、悲しげな顔をしてる…」

黒服男「………」

黒服男「泣く、だと?」

黒服男「……そうだな。お前のような人間に馬鹿にされる事など、この上なく屈辱でしかない」

黒服男「人間よ、俺が今すぐお前を消せば何が起こるか分かるか?」

黒服男「お前の持つ憎悪が、この醜い塊に飲み込まれるんだ。そして僅かに肥大する……ごく僅かに」

黒服男「これはこの町の人間共が抱え持っていた憎しみの集体だ。どうだ?貴様の抱いた憎悪ですらこれを前には霞む」

黒服男「貴様らのような汚れた存在が俺を哀れむとは、何たる傲慢だ?」

包帯少女「…気付いてる?あなたは今、あなたの嫌う人みたいな考え方しか出来てない」

包帯少女「光があれば陰があるように」

包帯少女「勝者がいれば敗者がいるように」

包帯少女「暖かい感情があれば、目を背けたくなるような感情もある。それが人間なの」

包帯少女「そういう二面性ってね、必死な人ほど片方しか見えてないものなんだよね」

包帯少女「あなたも同じ。視野の狭い、可哀そうな"ヒト"」

黒服男「………小娘」

黒服男「生き損ないのお前が俺を焚き付けることに何の意味がある?」

黒服男「惨たらしい死を所望か?」

黒服男「否、横の男が苦しみのたうつ方がお前には堪えるか」

包帯少女「……」

黒服男「終焉に立ち向かう人間が如何程のものか、見極めるつもりであったが…蛇足だったな」

黒服男「どの道貴様らには消えてもらうが、最後に余興を見せてくれ」

黒服男「――娘、男を殺せ」

少年「っ…」

黒服男「……」ニィ...

黒服男「お前は一度、この男に殺されている。その報復をこやつに受けさせてやるべきだろう」

黒服男「或いはそれが出来ないとあれば…先に同じ、自害を選べ」

黒服男「さて、二つに一つだ」

包帯少女「……」

少年「……」

少年(………)

包帯少女「………いいよ」



包帯少女「――死んであげる」





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