330: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2020/02/03(月) 03:24:36.47 ID:L/MaCyf+0
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ザッ、ザッ、ザッ
ケモノ「!」
女「」ザッ、ザッ
ズボッ
女「きゃっ…!」
ケモノ「女!」ダッ
...ポスッ
女「…!ありがとう、ございます」
ケモノ「雪道は歩き慣れているのではなかったのか?」
女「…少し、上の空でした」
ケモノ「何かあったのか」
女「いえ、おかしなことは何も……」
女(………)
女「……思い出しませんか?」
ケモノ「…?」
女「あの日も、ここは同じような雪化粧を纏っていました」
女「丁度帰路に着いていた私と、手負いのあなたと……運命の神様が引き合わせてくれたのかもしれません」
ケモノ「……」
女「あれから一年が経ちましたね」
ケモノ「そうだな」
ケモノ「…前から訊きたいと思っていた」
ケモノ「貴女は何故、俺と共に居てくれるんだ」
ケモノ「貴女の村は恐らく、俺のような異形の存在を許してはいないのだろう。いや、人は俺達妖禍子を受け入れる事はない……そう思って生きてきた」
ケモノ「しかし貴女は違った」
女「……大層な理由ではありませんよ?」
女「あなたのその、澄んだ碧い瞳が私を惑わしたのです。まるで灯りに引き寄せられる羽虫のように…私は魅せられていました」
ケモノ「………」
ケモノ「驚いた」
ケモノ「俺も同じ事を考えていた」
ケモノ「貴女のその目……その紅い瞳に見惚れなかった日はない」
女「まぁ…!そんなことを考えながら…?」
女「なんだか……ふふっ、恥ずかしい」
女「私達、とても似た者同士なのですね」
ケモノ「──!」
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