328: ◆YBa9bwlj/c[saga]
2020/02/03(月) 03:22:02.29 ID:L/MaCyf+0
村長「のう…やはり警護の者を付ける訳にはいかぬか」
女「お父様」
村長「分かっておる。それが村を出て行かぬ条件であったよな。…じゃがのぅ…」
女「こうして何事も無く生きてゆけてるのです。まだ気がかりだと言うのですか?」
村長「むぅ……いつ何時奴らに襲われるやもしれぬ……そうでなくても女子の独り暮らしなど危険を伴うと言うに……」
女「………」
スッ
村長「…む?なんじゃこれは」
女「秋の頃、葉の標本というものを作ってみたのです」
女「如何でしょう?美しく仕立てられたと思っているのですが」
村長「ふむ、確かにの。艶やかな色遣いじゃ」
女「まるで私のよう……ではありませんか?」
村長「いや、お前の方が綺麗じゃよ」
女「娘を口説いてどうするのですか」フフッ
女「それはお父様に差し上げます。私の代わりとでも思って、持っていて下さいな」
村長「……」
村長「…まったく…お前には敵わんよ。その強かな様、誰に似たんじゃろうな」
ガチャッ
巫女「村長、今戻ったわ」
村長「うむ。丁度よい時に来たの」
女「姉様…!」
巫女「あら、来ていたのね」
女「はい!お元気そうで何よりです」
巫女「お互いにね。昔は私から離れなかった女が、今じゃ独り立ちまでしちゃって」
女「私だって成長しているんです」
村長「わしは独り立ちをさせているつもりはないぞ」
巫女「心配性なところは死んでも変わらなさそうね」
女「…姉様はまだ破邪の巫女を?」
巫女「…不満そうな顔ね?」
女「だって姉様があんな役回りをする必要なんて……」
巫女「仕方がないのよ。奴らを根絶するには大勢の人の力がいるの。それを支える象徴もね」
女「……私、その思想は苦手です。彼らが私達に何をしたというのでしょう。彼ら──妖禍子はそこに居ることさえ許されないのですか…?」
村長「女…ここでそのような発言は」
巫女「大丈夫、外には誰も居ないから。聞かれてないわよ」
巫女「…女、あなたは優し過ぎるのよね。その優しさはあなたの魅力でもある」
巫女「でもね覚えておいて。全てを受容することは出来ないの。生物にとって、自分を脅かす可能性のあるものは遍く除去するべきなのよ」
巫女「私達がこうして平和に生きていくためにもね」
女「……そんなの、私達の都合ではないですか……」
巫女「……」
409Res/508.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20