7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/16(月) 22:54:58.75 ID:ajLiiV4A0
「ええー。なんか死んだみたいじゃん。俺」
「あたしに内緒で、サプライズを企画して、ずっと黙ってるプロデューサーさんなんてこれでいいんだよ!」
「だってサプライズってそういうものでしょ」
「ネタばらしくらいしてくれよ!」
「いやー、だって。奈緒が駐車場で、アンタはなんかねーのかよとか言うから、もう一仕掛けくらいいるかなぁ、って」
ああ、そうだった。
あたしは何て嫌なことを言ってしまったのだろう。
サプライズを企画してプレゼントを用意してくれた相手に「なんかねーのかよ」とは結構な態度である。
気付いてしまって、急に申し訳なさでいっぱいになる。
「……それは、その……ごめん。ごめんなさい」
こればかりは、あたしが悪い。
「……ぷっ、あははは。やっぱり奈緒は面白いなぁ」
本気で頭を下げて謝るあたしを待っていたのは、謎の笑い声だった。
「え?」
「別になんとも思ってないよ。個人的なお祝いは別でご飯でも行けると思ってたし、花束はああした方が喜ぶかな、って思っただけだからね」
「…………え、そうなの?」
「そうそう。だから気にしなくていいよ。ほら、ご飯行くんでしょ?」
「……うん。あ、でも花瓶」
「ここでいいでしょ。ちゃんとした飾り場所は明日出勤してから考える」
「プロデューサーさんがそれでいいならいいけど……」
相手が気にしなくていい、と言ってくれていてもやはり罪悪感は拭えない。
そのせいで歯切れの悪い返事をしてしまうあたしの手をプロデューサーさんは軽く引いて「ほら、早くお昼行こう」と言った。
13Res/13.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20