6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/16(月) 22:53:53.21 ID:ajLiiV4A0
「……お邪魔だった?」
「あはは。大丈夫です。渋谷さんお疲れ様です」
「お疲れ様です。この度はご注文いただいて……」
「いや、お礼を言うのはこっちの方でその節は……っていうか予算以上でしょ、これ」
「そこは色を付けたりなんかしてないと思いますよ。予算内で最良のものを出すのがプロなので」
「素敵なご両親ですね」
「ふふっ、またのご注文をお待ちしてますね」
「もちろん。是非」
「私に直接言いにくければ、私のプロデューサーに言ってくれたらいいので」
あたしを置いてけぼりで、よくわからない会話を繰り広げる凛とプロデューサーさんだったが、よくよく聞いてみれば、なんとなく話の流れが読めてくる。
これは、つまり?
この花束は?
「えっ、これそういうこと?」
「奈緒、今更気付いたの?」
「えっ、えっ、プロデューサーさんもなんで言ってくれねーんだよ!」
あたしの絶叫をよそに、プロデューサーはにこにことするばかり。
凛はと言えば、「じゃあ、花瓶ここに置いておくから。またね」と去って行ってしまうのだった。
「あ、もうお水入れてくれてるよ。渋谷さん優しいなぁ」
プロデューサーさんは依然としてにこにこしながら、あたしの花束をほどいて、花瓶へと生けている。
そして、プロデューサーさんはやがて全ての花を生け終わると「どこに飾ろうか」と言うのだった。
あまりにもやられっぱなしで頭にきたので、プロデューサーさんの持つ花瓶を半ばひったくるようにして奪い、休憩室を出る。
廊下をずんずん進んで、プロデューサーさんが普段お仕事をしているデスクの前までやってきたのちに、そのデスクのど真ん中に置いてやった。
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