5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/16(月) 22:52:33.48 ID:ajLiiV4A0
凛がこの休憩室を後にした少しあと、入れ替わりでプロデューサーさんがやってきた。
「ここにいたんだ」
「あ。ごめん、凛がいたから」
「いや大丈夫。こっちもこっちで書類とかそういうの、片付けてから奈緒を探しに来たから。待たせてないなら良かった」
「そっか。……あ、それと凛が花瓶持ってきてくれるって」
「よかったよかった。渋谷さんにはお礼を言わんとなぁ」
あたしのために花瓶を貸してくれるだけなのに、何故かすごく恩を感じているようなプロデューサーさんは少し不思議だが、そういうところがある人でもあるかもしれない、と流す。
ややあって、あたしの隣に腰掛けたプロデューサーさんは「それでお昼ご飯はどこに行きたいか決まった?」と訊いてきた。
「んー、未定!」
「なんだそれ」
「未定だから、こう……適当にぶらぶらしたい……なんて、そういうのは……その、ダメか? あっ、もちろんプロデューサーさんが忙しいなら全然断ってくれても……」
思い付いた提案をまごまごとしながら述べるあたしを見て、プロデューサーさんは笑う。
「大丈夫。すっごい暇だよ」
「じゃあ……」
「うん。ふらふらしよう」
「ん。……その、ありがとな」
「いえいえ。それに、あんなかわいいお誘いは断れん」
言われて、先程の自身の提案の仕方を思い出す。
ぼっ、と火が付いたような幻聴が耳で響いて、全身の血が顔の方に集まっていく感覚になった。
そして、その最悪のタイミングで花瓶を携えた凛が来た。
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