4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/09/16(月) 22:50:57.76 ID:ajLiiV4A0
助手席からぴょん、と降りて一足先に事務所に入る。
廊下を抜けて、休憩室を窺うとスマホをいじっている友人、凛の姿があった。
気付かれないように、気付かれないように、と彼女の後ろに回る。
無事に気付かれずに背後を取ることに成功すると、全霊の力を込めて「わっ!」と言いながら彼女の肩を叩いた。
彼女は、うひゃあというような情けない叫び声を上げて、跳び上がる。
その勢いで吹っ飛ばされた休憩室の椅子が倒れ、かこーんという音が響いた。
「…………びっくりしたなぁ、もう」
「ごめんごめん。そんなびっくりするとは思ってなかったからさー」
「仕返し覚悟しといた方がいいよ」
「お手柔らかにお願いしたいんだけど……」
「加蓮にも協力お願いしておくから、安心してね」
「いやいやいや、勘弁してくれ……」
「っていうか、いいの持ってるね。それどうしたの?」
彼女はあたしの抱えている花束を見て、言う。
よくぞ聞いてくれました、というような勢いで、あたしはサプライズで渡されたときのことを最初から最後まで彼女に語って聞かせてやる。
すると彼女は「ああ。そういう感じなんだ」と笑うのだった。
意図がわからないあたしが首を傾げていても、彼女は「こっちの話だから大丈夫」と言うので、よくわからないままにしておくことにする。
そのまま凛と談笑を交わしている間に花瓶の話題になって予想どおり「使ってない花瓶? うん、あるよ。持ってくるね」と、取りに行ってくれるのだった。
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