【安価】安価ファンタジー冒険者で地の文多めのマジメなやつ
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◆a0UdM47R7d2e
[saga]
2019/09/07(土) 21:30:58.33 ID:rjqTezbP0
山中は生命の気配に溢れている。
自身の数倍はある針葉樹に囲まれ見通しの利かない視界には何も捕えられないが、時折こうして何者かが存在を示していた。
声はすれど姿は見えず。
本当に危険なものはヴォルフが対処すると分かっていても恐怖は抑えきれない。
そして、恐怖に竦んだ体というものは平時よりも遥かに消耗が早い。
途中で拾った杖……程良い太さと長さの枝が無ければミアはとうに倒れていただろう。
……それもどうやらここまでだ。
荒れる呼吸、意思に反して震える体。
視界は徐々に霞み異常な発汗も止まらない。
ついに杖が体を支えきれずに滑る。
預けていた体重が地面へ向けて崩れ、そして立て直す力などどこにも残っていない。
あっ、と思った瞬間には完全な手遅れ。
受け身の心得も無いミアに出来る事は、衝撃と滑落の予感に固く目をつぶる事だけだった。
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