70: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:00:01.85 ID:1OeslLNk0
「おおよそ三日後、母艦『しおさい』は苫小牧か室蘭、余裕のあるほうの港に停泊する。お前はそこで下船し、札幌を目指せ。北大付属の病院に空きがある。新千歳まで行けば職も斡旋してくれるそうだ。勿論、艦娘じゃない、綺麗な仕事を」
「ま、待ってください! 待って!
話が急すぎます! なにがなんだか……まるでわからない! 私には故郷があります! 家族がいます! 鎮首府と、そこのみんなが私を待ってくれているんです!」
ここに骨を埋めようと覚悟した岬のことを思い出す。ここに灰を蒔いてくれと願った渚のことを思い出す。
提督は少し優柔不断なきらいがあるものの、優しく、分け隔てなく私たちに接してくれた。同僚はみな気のいい友人で、非番の前夜には、自然と酒と肴を持ち寄る関係になっていた。
それらを全部捨てろ?
いきなり北国へ連れてこられて、見知らぬ土地で暮らせ?
一体誰がそんな、首を縦に振るだろうか。このひとたちは私がはいわかりましたとでも言うと思っているのか?
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