60: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/09/30(月) 22:56:54.93 ID:P1xDypFl0
その気持ちを少し考えてみて、わかるようなわからないような、不思議な気分になる。たとえば姉さまが急に幸福の連続に見舞われたとしたら、逆に心配になるだろう。そののちに不幸な目に遭ったとき、喜びさえ覚えるかもしれない。
酷薄だという非難は尤もだが、てんで的外れでもあった。変わらない日常が何よりも貴重である――そんな使い古された文言は、当然この世のすべてではないけれど、少なからず使い古されてきたなりの重みや実感を伴う。
ぱちん、ぱちり。
静かな病室に、静かに駒を打つ音が響く。
80手目で私の勝利だった。
「お見事だな」
手こそ叩かず、いつから見ていたのだろう、後藤田提督が扉の傍にいた。相も変わらず傷だらけの顔が、引き攣って不器用に、しかし朗らかに笑みを形作る。
「席を外しますか?」
返事を待たずして不知火が立ち上がる。後藤田提督は「いや、いい」と留めるも、不知火は「飲み物でも持ってきます」と部屋を後にした。私は彼女のことなどまるで知らないけれど、その所作をどこか不自然に思う。
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