47: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/08/23(金) 00:18:50.33 ID:2euMv+sS0
「……」
廊下は細く、それ以上に窮屈だと感じた。灰色と緑を基調とした空間に、LEDの灯りが煌々と降り注いでいる。扉。むき出しの配管。結束されたコードの束が縦横無尽。
違和感ばかりの中で、私は僅かに遅れて、最大限の違和感に気付く。
窓だ。窓がないのだ。それは普通の建物においては有り得ない話だった。
「大丈夫ですかぁ?」
ポーラが尋ねてくる。なんと答えればいいのか。
私はてっきりここが病院、あるいは浜松泊地の基地であると思っていたが、この光景はどちらにも当てはまらない。工場、研究機関という表現の方がよほど正しい。
そんな不安を知ってか知らずか、酩酊のせいなのか、ポーラはひょいひょい軽やかな足取りで前に進んでいく。最早私には選択肢などなく、一歩ごとに体のありとあらゆる箇所が悲鳴を挙げるのを聴きながら、壁に肩をこすりつけながら追った。
少し歩いては待ち、待ってはまた歩くを繰り返すポーラを見るに、どうやら私のことを気にしてはいてくれているようだったが。
247Res/192.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20