164: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/24(月) 21:20:19.05 ID:cZJ7+2AW0
「どうしましたか? 誰かお探しで?」
活字から視線を逸らして不知火。私は小さく頭を振った。
「いえ。手持無沙汰で、どうもね」
後藤田提督の旗下に就き、「浜松泊地」の一員となって既に二週間ほどが経過したが、CSARとしての活動はその間に一度もなかった。
無論遊んでいたわけではない。細々と体の検査はあったし、そうでなくとも条約や作戦行動についての知見は得なければならなかった。彼女たち仲間と呼吸を合わせるための演習も何度も行った。
わかっている。戦いの最中に何ができるかは、戦いの前に何をしてきたかに大きく左右されうる。実戦にすぐに出たがるのは新参兵にはありがちで、ゆえに彼らはすぐに死ぬ。そして私はとっくに新参を過ぎてしまっている。
心臓が大きく脈を打った気がした。
血潮の熱さが体表にまで伝わっている錯覚。
いや、あるいは、錯覚ではないのかも。
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