153: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/19(水) 21:17:23.27 ID:5AFgp54J0
そう言って二人は部屋を後にした。かつん、こつん、廊下に反響する二人分の足音。
「……」
「……」
「ねぇ」
零れた私の言葉を大淀は聞き逃さないでいてくれたようだった。すぐに「なんです?」と返ってくる。
「グラーフって」
「それ以上は、野暮ってもんですよ」
「いや、でも、あれで隠してるつもりなの?」
「えぇ、まぁ。本人的には?」
好意を。
私は見た。見てしまった。後ろに回した手、その指が、もじもじと乙女の喜びを示していたのを。
色恋とは縁遠い世界にいたせいか、私自身そういうのにとても疎いから、もしかしたら間違っているのは私のほうなのかもしれないけれど。……グラーフはいまにもスキップしていきそうに思えた。
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