152: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/19(水) 21:16:51.89 ID:5AFgp54J0
「安心しろ、救難じゃあねぇ。事務仕事だ」
「急を要する事務仕事、ですか。プリントの提出期限が過ぎていましたか?」
笑う大淀は、その実笑っていない。グラーフも変わらず後藤田提督の機微を見逃すまいとしている。
「当たらずとも遠からず、だな。先週の予算審議で、うちの活動内容に指摘が入ったらしくてな」
「監査でも入るのか?」
「そういうわけじゃねぇが。ま、最近は少なくなってた縄張り争いだよ。海軍だけで十分だと、そういうことらしい。会敵回数と戦闘規模、負傷者の数、弾薬や油の消費……そりゃあ、失敗した作戦を除いて計上してんだ、当然だわな」
その声には怒りよりも呆れが強く浮かんでいたように思う。
よっこいせ。おじさん臭い掛け声で後藤田提督が腰を起こすと、釣られるようにグラーフも立ち上がった。
「データのまとめや資料作成くらいは手伝おう」
「悪いな、グラ子」
「なぁに。私たちは一蓮托生なのだ、そんな言葉など聞きたくないな。
それでももし提督、あなたに慮る気持ちがあるというのなら、今度酒でも奢ってくれればいい」
「はは。覚えておくさ」
「頼んだ。いい店を見つけたんだ」
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