151: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/19(水) 21:16:23.89 ID:5AFgp54J0
「余った分は呑みにでも使え」
「だめです」と、大淀。「賭け事での勝ち負けはきちんとしませんと。その上で、奢ってください」
「相変わらず細けぇやつだ。なら、戸棚の日本酒、四合瓶のほうな、あけちまってくれ。悪い酒じゃないんだが、少し甘口すぎたな」
「命令とあれば」
「んで、代わりと言っちゃなんだが、片付けは頼む。仕事からは逃げられんらしい」
こめかみを押さえて……恐らく通信が入っているのだろう。
私ですら気づいたそのしぐさ、大淀とグラーフが気づかないはずもなかった。一瞬で目の色が変わる。紫電が走る談話室の空気。踵を軽く浮かせ、号令ひとつで射出される火の玉のひとのかたちがそこにはある。
「落ち着け」
短く、後藤田提督はまずそれだけを言った。
「血に飢えた狼か、てめぇらは」
「必要とあらば」
即答の主はグラーフ。怜悧な彼女はいつもの毅然さをそのままに、顎を上げる。相手を真っ直ぐに射抜く。
「私たちにこの生き方を与えてくれたのは、他ならぬ提督、あなただろう」
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