150: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2020/02/19(水) 21:15:54.79 ID:5AFgp54J0
「だめだだめだ。大淀、ちっとは手加減しろよ、素寒貧だ」
「いいじゃないですか。たんまりもらってるんでしょう? 『上官殿』」
牌を倒しながら、後藤田提督は自らもまたカーペットの上に倒れた。その口調は投げやりと勝算が半分ずつで、大淀は上半身を彼へと僅かに寄せると、にんまり笑う。
グラーフがこれまでの点数をまとめている。大淀が独走状態でトップ。グラーフは小勝ちにとどまったが、チップの枚数は誰よりも多い。三位が後藤田提督、四位が私だが、チップを加味すればトントンと言ったところか。
私はとりあえず、誰かが崩してくれることを期待して万札を二枚出した。懐は痛いが、不思議な、不思議と、満足感があった。高揚感もまた。
もし誰も見ていなければ、私も後藤田提督のように空を仰いでいたかもしれない。
同じように万札をテーブルへと置き、彼は立ち上がる。
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