116: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/14(月) 21:39:47.43 ID:UFSxYV+50
「買い物は最後にするわ。重たい荷物を持っての移動は避けたいし」
そもそも、物欲は少ない方だ。幼少のころから欲しいものが手に入ることは稀だった。私も姉さまも、暇を紛らわすのはもっぱらふたり遊びで。
と、ぐうぅ、大淀の腹が鳴った。盛大に。
彼女は誤魔化さずに、寧ろ破顔一笑して、「なら、早めの昼食と洒落込みましょう」と言ってのける。私の手をとって辺りを見回し、適当なファミレスを見つけると、ずんずんと進んでいく。
「ここは私の奢りです。なんでもどうぞ」
「そんな、悪いわ」
「いえいえ。新しい仲間に、乾杯というやつで」
仲間。耳がこそばゆくなる響き。
顔が熱い。大淀の顔を直視しづらくなって――恥ずかしい台詞を容易く言ってのける彼女のせいでもあるし、自らの赤い頬のせいでもある――私はメニューへ目を落とした。
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