114: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/14(月) 21:35:40.68 ID:UFSxYV+50
後藤田提督は私が怒っているのだと言った。その表現は腑に落ちて、もし真実だとするのならば、きっと私は諦めが悪いのだろう。諦めの全てを姉さまに吸い取られてしまったのだろう。だからこうも怒れる。
この世に蔓延る不幸の数々に我慢がならない。
大丈夫ですか? どこか痛みますか? 看護師が私の顔を見て、心配そうに言った。無意識のうちに顔を顰めてしまっていたかもしれない。かぶりを振って、大丈夫ですと答える。
検査結果は数日のうちに出るそうだ。異常は無自覚だけれど、無自覚な異常のほうが恐ろしい。
病院を出ると大淀がベンチに座っていた。紙パックのフルーツ牛乳を、凹ませたり膨らませたりしている。随分と暇を持て余している御様子。
「終わりました? どうでした、検査」
大淀は近くにあった屑籠へと紙パックを投げた。シュート、と呟きながらの投擲は、きれいな放物線を描き、しかし外れる。首をかしげながらてくてく歩いていって、結局自分の手で叩き込んだ。
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