13:名無しNIPPER[saga]
2019/08/19(月) 08:16:45.42 ID:NQ1K5SrnO
それに、恋ってどんな感情か分からないもん。
かっこいい、優しい、いい人。それだけでは恋になり得ないなら、何を以て恋になるのだろうか。
「恋ってよく、わかんない」
そう漏らす私に、ユズさんは「ま、そのうちいい人が見つかれば分かるよ」と慰めるように言った。
「ユズさんにとって、オーナーは『良い人』なの?」
うーん、と悩む振りを見せて、オーナーは口を開いた。
「いい人……『良い人』ではないかな。自分の商品に手を出すし。平気で他の男に抱かせるし」
ならばなぜオーナーをと口を開きそうになったところで、ユズさんは言葉を続けた。
「でもね、私にとって『好い人』ではあるの。善人ではなくても、私は彼が好い」
感覚なんだけどね、と恥ずかしそうに付け足された。
その感覚が分からない私にとっては遠い世界のような話だ。
「いつかまどかにもそういう人ができるよ」
ユズさんはそう言うけれど、こんな生活の私に「好い人」が見つかるとは思えない。恋を知る機会は、私には一生無いのかもしれない。
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