【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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31: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:38:57.06 ID:oj63shz20
「アナタこそ、いいの?」
「夏葉と同じ意見だ。見ているだけで楽しいよ」
「……そう」

 優しげな口調だった。穏やかな空気が流れていた。俺もなぜか夢心地な気分になって、まだなみなみと中身の入ったグラスを、軽く揺すってみたりする。

 デスクのすぐ横には臨時のアルミ製の折りたたみテーブルが配置されていて、数点の酒類とソフトドリンクがのせられていた。夏葉はそこからワインボトルを一つ取り、封を開ける。

「あ……これ、美味しいわ」
 新たに注がれた深紫色の液体を口に含むと、夏葉はそう呟いた。グラスの縁に薄く口紅の痕が残る。

「そんなにか?」
「ええ。アナタも飲んでみるといいわ」
 夏葉がグラスを俺に差し出す。空いていた左手で受け取って、それを口元まで運ぶ。かぐわしいぶどうの香りが鼻をついた。口に含み、十秒ほど舌の上で液体を転がしてみる。

「うん、確かにうまいな。口当たりもいい。だけど個人的には……」
「もう少し苦みがある方が好み?」
「ああ、そんな感じだ」

 好みから少し外れるとはいえ、質の良いワインだった。社長がこっそり秘蔵のボトルを提供してくれていたらしいので、恐らく今のがそれだったのだろう。

 満足して、グラスを夏葉に返そうとする。夏葉もそれに気づいて右手を伸ばす。お互いがグラスに触れて、指先がかすかに触れ合った。

 そこでパシャリと、耳慣れた音がした。



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