【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
1- 20
30: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:38:30.66 ID:oj63shz20
「ち、ちからわざです……っ!」
「ち、ちからわざじゃねーか……」

 二人の相似した反応に凛世は「ふふ……」と微笑を浮かべて、それから、クイズ本を受け取った。一度本を閉じて、無作為にいずれかのページを開く。一題ごとに出題者の役をまわしているらしい。

「よし、今度こそ正解してやるからな」
 樹里が意気込んだ。

 ……ああ、微笑ましい。
 俺は素直にそう思った。それは樹里に限った感想ではない。四人が何か一つのものに興じる様子それ自体が、とても愉快に感じられた。
 
 なぜクイズの出し合いになったのかはわからない。成人をむかえた女性四人が興じるものとしては、いささか幼いとも思う。しかし、浮かれた人間がなにかに熱中することに、大きな理由などない。ただ娯楽本がそこに転がっていたというだけの話だ。

「夏葉は混ざらないのか?」

 ちょうどグラスを空にしたタイミングを見計らって声をかけた。夏葉は軽くなったグラスを、所在なげに、ほんのわずかに揺らす。その横顔はやはり赤かった。

「私は……いいわ。眺めているだけで楽しいもの」
「そうか」

 顔の紅潮具合で言えば、一番は夏葉だった。俺もたいがい顔を赤くしていたが、空のグラスに映りこむ自分の顔は、彼女ほどではなかった。この時、最も酒を愉しんでいたのは間違いなく夏葉だった。

 別に悪い酔い方をしているわけではない。ただ明らかに、普段に比べて飲む量は多かった。ひょっとすれば、果穂の成人にもっとも浮かれていたのは夏葉だったのかもしれない。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
61Res/84.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice