【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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29: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:37:48.05 ID:oj63shz20

   ◇

「穴の開いたバケツに水をためるには、一体どうすればいいでしょう?」
 智代子がクイズ本を片手にそう言うと、果穂と樹里が眉間にしわを寄せ、凛世が首をかしげた。

 俺は事務所のソファを中心に固まっている四人をぼんやりと見つめていた。グラスを片手に持ち、ソファを挟んで窓と反対側にある、デスク近くの壁際に立つ。すぐ隣にいる夏葉も同じようにしていた。ここにいる全員が、ほんのりと顔が上気している。大なり小なり皆に酒が入っていた。
 
 ――これは二年前の記憶だ。果穂の成人を祝った時のことだ。まだうっすらと寒さが残っていた、三月の末のことだったかと思う。ユニット一同、果穂を猫かわいがりしていたためか、妙に浮かれていたのを覚えている。もちろん、俺もその浮かれた人間の一人だった。

「んー……なんつーか、アバウトな問題だな……」
 樹里がうなった。

「えっと……なぞなぞみたいな感じですか?」
「ちょっと確認してみるね。……あ、ううん、物理的に水でいっぱいにできるみたいだよ」
 果穂の質問を受けて、智代子はパラパラと本をめくった。答えのページを見つけて、智代子はひとり、「あー」とも「えー」ともつかない表情をした。

 凛世が手を挙げる。

「はい、凛世ちゃん」
「浴槽などの……より大きな水たまりに……バケツごと沈めてしまうのはいかかでしょう……?」
「あ、正解! 凛世ちゃんすごい! 他の答えだと、こぼれる量より多く水を注ぎ続ける、とかだって」

 智代子が答えのページを、他の三人によく見えるように開いた。果穂は「あー」という表情をつくり、樹里は「えー」という表情をつくった。



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