【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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25: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:35:04.57 ID:oj63shz20
 教会のある高台を降りて、海岸にある砂浜に出た。二人で並んで海を見ている。
 ここが最後の目的地だ。この『デート』の目的地はいつも、どこかしらかの海と決めている。夏葉にとって海という場所は特別な場所だ。そして、同時に俺自身にとっても。

「……青いな」
「それは海のこと?」
「いや、あの若いカップルの二人だよ。海の方は見ての通りだ」

 海は黒々としていた。梅雨の海だ。降り続く雨で濁りきっていて、波打ち際ですら水底を見通すことはできなかった。

「ああいうのを若さって言うのかな。少し羨ましいと思ったよ。五年くらい前の俺は……」
「夢を追っていたわね。私たちと」
「そうだな。わき目も振らなかった。たぶん彼らみたいに。それこそ、好きだの恋だのを置き去りにするくらいには」

 夏葉のことはずっと好きだったのだと思う。だが恋愛感情を取りざたする暇もないほど、夢を追う日々は楽しく満ち足りていた。そして気づけば『勢いに任せて』なんていう情動を失ってしまった。



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