双葉杏「透明のプリズム」
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95: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 03:05:08.28 ID:OJA0wgUK0


私にはこの想像が、辻褄が合っているように思われてならなかった。
論理的整合性がどうとかそれ以前に、あまりに彼らしく思えたのだ。
計算高く綿密に練られた計画が、約束を反故にするという子供じみた結果を生み出すところが、いかにも彼らしい。

それに、この仮説をもとにすれば、彼の演技とは何だったのかについても簡単に特定できる。
 
彼は、担当替えのことを知らないフリをしていたのだ。

「緑色の空」の話をする前から、彼は担当替えが決まったことを聞かされていたのだろう。
しかし彼はその決定を、ぎりぎりまで私に隠し通した。
それは私に対する一種の配慮だったのかもしれないし、あるいは、適切なタイミングを窺っていたのかもしれない。


視界が一気に開けたような感覚を覚えた。
あちこちで絡み合っていた謎が連鎖的に消滅した。
あと少しだ。
残存する不可思議な点はたったひとつだ。
――どうして彼は、出題自体に意味があって、解かれてしまってはいけないようななぞなぞを出したのか?


でも、例の仮説を元に考えてみたら、答えはすぐに見つかった。
分かってしまえば、あまりに呆気ない。
何と言えば良いのだろう。


私たちは、やっぱり似ていた。




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