双葉杏「透明のプリズム」
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93: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 03:04:07.79 ID:OJA0wgUK0


記憶を順番に辿ってみる。


『そういえば、こんななぞなぞがあるんだ』

『緑色の空はどこにある?』

『そうだなぁ……日本にあるよ』

『一週間考えてみて、それでも思いつかなかったら、答えを教えてあげるよ』


彼は嘘を吐いてはいないと言った。
しかし本心を隠していたことも確かだ。
嘘以外で本心を隠す方法。

演技。
私の頭にふと浮かんだその言葉。

演技だ。
彼はあの時点、緑色の空の話をした時点で、演技をしていた。
具体的にどんな演技をしていたのか?

答えは喉元まで出かかっている気がした。



『彼は私に、答えを知ってほしくないんじゃないか?』


これは少し前、彼と映画館に行った日に行き着いた仮説だ。
しかしこの仮説は、彼の発言と矛盾する。


『一週間考えてみて、それでも思いつかなかったら、答えを教えてあげるよ』


彼は一週間後に答えを教えてくれるはずだった。
だから本当なら、この仮説は誤っている。

――私がこの仮説を捨てきれないのは、彼があのなぞなぞの答えを私に打ち明けるのを渋っているからだ。
答えを言うのを先送りにし続けることの理由は、答えを知ってほしくないから、以外に考えられない。




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