75: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:51:59.32 ID:OJA0wgUK0
☆
あえて言葉を選ばずに言うなら、私は性格の悪い子供だった。
私の尋問の目的は何だったのだろう。
そもそも尋問を働こうと思ったのだって邪な気持ちが湧いたからなんだし、初めから正当な目的なんて存在しなかった気がする。
私は尋問を楽しんでいた。そして、楽しむために尋問をしていた。
尋問の目的は、半分が私の予想が正しいかどうかを確かめること。そして、もう半分は、仕返しだ。
「プロデューサー。結局さ、プロデューサーが杏に黙って外堀を埋めてたのはどうして?」
次の瞬間、彼の表情は凍り付いた。
時間が止まったように固まっている彼に構わず、私は言葉を続ける。
「誤魔化せたとでも思ってたの?」
「……外堀って、そんな人聞きの悪い」
「はぐらかさないでよ」
「もしかして怒ってるのか? それなら謝るから、さ」
「あのね、杏は理由を聞いてるんだよ」
「どうして笑顔なの」
「話を逸らさないで」
いたちごっこだった。
プロデューサーが話の方向性を別の軌道に逸らそうとして、私がそれを阻止する。
まるで会話になっていなかった。
そのくせ私は努めて笑顔を作っていたし、彼も穏やかな笑顔を浮かべていたから、不思議を通り越して不気味な状況だった。
117Res/151.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20