双葉杏「透明のプリズム」
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70: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:49:03.87 ID:OJA0wgUK0


そう考えると突然、プロデューサーが子供っぽく思えた。
脳内で冷笑的な笑みを浮かべていた彼が、動揺させられた腹いせに私に対する報復の機会を窺っているような、そんなちっぽけな存在に変貌を遂げた。
その想像は、私の感情の起伏を和らげるのには充分なほどに喜劇的だった。

 
「……ふふっ」


あまりのおかしさに、ついつい笑いが零れてしまう。
子供っぽいという言葉までがおかしく思えてくる。


あのプロデューサーが、子供っぽい、か。
でも意外と、そういうところはあるよね。
部屋の前で私を驚かせたり。
よく分からないなぞなぞを出題したり。


そんなことを考えているうちに、怒りや羞恥のことはすっかり吹き飛んでしまった。
――私が邪な感情でプロデューサーを騙したのと同じように、彼もまた、邪な感情で私を騙したのだろうか。
それは勝手な妄想だったけれど、でも、もしそうだったら。
もしそうだったら、きっと。


私たちは、よく似ている。
そのフレーズは私には気恥ずかしく感じられて、慌てて布団とうさぎのぬいぐるみに顔を埋めた。




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