双葉杏「透明のプリズム」
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6: ◆YF8GfXUcn3pJ[saga]
2019/08/18(日) 02:02:47.58 ID:OJA0wgUK0


数時間経って、仕事終わりらしいプロデューサーからメールがあった。


『色々と話すことがあるから、一度どこかで会おう』


プロデューサーからメールを受信したことに気付いた瞬間の私は、実は嘘でした、とか、勘違いだった、とか、そういう内容を期待していた。
そんなことがあるはずない、と口では呟きながらも、内心ではそんな安っぽい展開、安易な逆転劇が起こることを信じていた。
勝手に期待して勝手に失望する。そんな自分が滑稽に思えた。


『明日』


一言だけのメールをプロデューサーに送る。
その日の私は、その二文字をプロデューサーに伝えるだけで精いっぱいだった。

布団にうつ伏せに倒れ伏して、色んなことを考えた――明日のこと、これからのアイドルの活動について。
昨日のこと、昨日よりずっと前のこと。
新しい担当プロデューサーの人のこと、今の、「元」担当プロデューサーのこと。

――別に私もプロデューサーも死ぬわけじゃないし。
でも、もう駄々をこねたり、飴玉を貰ったりすることも出来ないのかも。

その日の私は結局、夜がすっかり更けきるまで、半ば眠ったように起き続けていた。




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